ALISのICOに参加するリスクについて
この記事は少々辛辣な表現になっておりALISが詐欺であるかのように解釈されるかもしれませんが、あくまで可能性の話にすぎません。公式の方がもしご覧になって気分を害されたら申し訳ありません。あくまでも注意喚起が目的でありICOを妨害するものではありません。
ALISのICO開始がいよいよ9月1日に迫っています。
日本語のホワイトペーパーが用意されていて日本国内のサービスを行うためのICOということで注目を集めています。
しかしICOは株式上場とは異なりいろんなリスクがあるので注意喚起としてまとめてみました。
ALISについては以下を参照してください。
目次
- 詐欺リスク
- 上場しないリスク
- ロンチしないリスク
- 法改正リスク
- インフレリスク
- そもそも割高リスク
- ハッキングリスク
詐欺リスク
ホワイトぺーパーを読む限りはとても考え込まれていて夢のあるプロジェクトですが、この全てがICOで資金を集めるためだけに考えられた詐欺プロジェクトである可能性をまず考えなければいけません。
ALISはITMedia等々のメディアに露出しており「詐欺をするなら大々的に宣伝する必要ないじゃないか」と思われるかもしれませんが、逆にその宣伝で大きく資金を集めることができるので詐欺を否定する要因にはなりません。
またALISが詐欺をするつもりがなくてもスタッフの一人が集まった金を持ち逃げしてプロジェクトが頓挫する可能性が無いとも言えません。
ICOは誰が審査したわけでなく、ICOに参加する各々が個別に審査しなければいけないので常に詐欺リスクは考えなければいけません。
上場しないリスク
9月1日のICO開始で申し込み(事実上の入金)を行えばすぐにALISトークンが手に入りますが、その時点ですぐに売ることはできません。
- もちろん仮想通貨なので自身で相手を見つけて個人的な売買を行うことは可能です
公式では現在海外の取引所での上場を目指していますが、国内の取引所への上場は来年以降になるようです。もちろん海外の取引所へ上場してもその取引所に口座を持っていなかったら売買できません。
上場しないことは無いと思いますが、この記事を公開した時点では上場は決まっていませんのでしばらくは取引できないことを忘れてはいけません。
ロンチしないリスク
ロンチ(Launch)とは
ローンチとは、新しい商品やサービスを世に送り出すことである。日本語では「立ち上げ」「公開」「開始」「発進」などの語が相当する。
http://www.weblio.jp/content/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%81
ICOで資金が集まり本格的な開発がスタートしてもそれがいつ公開されるかは不明です。
公開されない可能性もあります。
開発が進まない、法改正に引っかかる、同様のサービスに先を越される等理由はいくらでも考えられます。
上場後にすぐ売却する予定の人は関係ないのですが、ALISの理念に共感して長期的に保有する予定の方はロンチしない可能性も考えておいたほうがいいです。
法改正リスク
ALISは今まで日本にない[仮想通貨によるインセンティブを付与するサービス]です。
- 仮想通貨と書きましたがトークンと言ったほうが適切かもしれません
VALUでの事件など仮想通貨であることに基づく被害者救済のため急な法改正が行われる可能性があります。その際にALISのインセンティブであるトークンの扱いが違法になる、公式機関の許可が必要になる等の事態になり、その結果ロンチできなくなることがあるかもしれません。
時代の先端を走ると利権を求める輩が現れたりしますからね…
インフレリスク
公式のホワイトペーパーによるとALISトークンは[インフレ率が50%のトークン]とのことです。
私の解釈が間違っていなければ[毎年50%のトークンが新規に発行される]ということになります。
新規発行分は参加ユーザーのインセンティブとして扱われるとのことであり、ALISユーザーが継続的にサービスを利用するモチベーションに繋がりますが、その反面、トークンの価値は減っていきます。
- 公式のホワイトペーパーによる見解ではトークンの価値も上がると試算されていますが、理論的にはトークンの価値は下がるはずです
- 現在の仮想通貨全体の価格上昇が健全なものならばトークンの価値も上がっていくと考えられますが、バブルだとしたらやはり下がるはずです
- 長期的にはリップルのようになだらかな下降トレンドを形成する恐れがあります
- 短期的には上記の理由からすぐに売ってしまったほうが良いという発想に繋がりやすく、(上場したとして)価格が乱高下する恐れがあります
そもそも割高リスク
ALISのICOによる調達金額は公式によると
最低調達金額: 350万ドル( ≒ 11,666 ETH )
最高調達金額: 3000万ドル( ≒ 100,000 ETH )
単純に1ドル100円で計算して最低が3.5億円最高が30億円となります。
今回のEthereumを通じたICOはALISトークンの25%となります※1。
つまりALISトークンの時価総額は最高調達金額の4倍、120億円相当になります。
類似サービスを公開しているはてな株式会社の2017/08/28時点での株式時価総額は約77億円であり、ALISトークン120億円は割高であると感じます。
「はてなどころじゃない、もっと大きくなる可能性を秘めている」といった反論が聞こえてきそうですが、現在はまだICOの段階でプロジェクトの進捗状況は0%です※2。
実際に数億円の売り上げを上げているはてな株式会社の価値を、売り上げどころかに何も始まっていないALISが上回るのは割高と言わざるをえません。
なので上場後ににICOより安く売買される可能性は高いと思います。※3
- ※1 公式ホワイトペーパーの[9. トークンはどのように作成・配布するのか]を参照
- ※2 公式github(https://github.com/AlisProject)を見たところsteemをフォークしただけでリポジトリの作成もまだ行われていない(2017/08/28現在)
- ※3 相場では実体以上の評価を受けて価格が高騰することは珍しくありませんので上場後の価格については一切の保証をしません。自己責任で判断してください。
ハッキングリスク
ハッキングについてのリスクは色々と考えられますが、ここではICO申し込み時のハッキングリスクについてです。
9月1日のICO開始と同時に公式サイト(https://alismedia.jp)での申し込み受付が始まります。
手順に沿って進めていくとイーサリアムのアドレスが表示され、そこに送金をすることで申し込みが完了となります。
しかし、万が一にも公式サイトがハッキングされる可能性も否定はできません。
公式サイトに表示されたイーサリアムのアドレスはハッカーによって書き換えられた偽のアドレスかもしれません。
実際にそのような事件が起こっています。
http://www.bibitpost.com/archives/1138
公式サイトのハッキング(乗っ取り)については参加者には防衛する手段がありません。タイミングとしては9月1日のICO開始直後が一番危ないと思います。(参加者は我先にと申し込みを急着、サイトの確認がおろそかになるので)
もしハッキングされた偽のアドレスに送金してしまったら、それは戻ってこないと考えたほうがいいでしょう。
ICOはまだ歴史が浅く、現在はICOバブルだとも言われています。
そして日本向けのICOは例が無く人気が予想されます。
しかし上記のようなリスクが考えられる上、ICOはIPOのような上場審査が無く誰でも公開できる状況です。
夢の詰まったホワイトペーパーひとつで数十億円、数百億円の資金が調達できるICOはバブルであると言わざるをえません。
今回のALISが成功したとすれば余計に詐欺師が目をつけるはずなので、今後も含めてICOの参加には十分な注意が必要です。
[全額失うリスク]は株式より格段に高いです。
くれぐれも[失っても構わない資金]で参加することを心がけてください。
楽天証券のシステム障害時の対応を調べてみた
2017年8月25日昼ごろから、楽天証券でアクセスできない障害が発生しました。
僕はスインガーであり、すでに買っている株は損失限定の逆指値注文を出しているし、新規に買う注文もすでに出しています。ザラ場中は基本的に何もしないので、値段チェックできないくらいで特に影響はありませんでした。
しかしたった今買い注文が約定したばかりだとかいう場面で障害が起こらないとも限りません。 そこで注文が出せずに損した場合に楽天証券はどれだけ配慮してくれるのか。そのあたり調べてみました。
システム障害発生時の対応
楽天証券のHPにシステム障害発生時の対応というページがありました。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/company/failure/
順番に見ていきましょう。
システム障害の定義
システム障害とは、弊社のシステムに明らかな不具合※1が発生していると弊社が判断し、かつ、お客様がインターネット※2またはマーケットコール(自動音声応答)経由でご注文いただけなくなるか、お客様から受託したご注文の執行(市場への発注)が遅延し、もしくは不能となった状態をいうものとします。
そしていきなりとんでもないこと書いてます。
※1 回線の障害やお客様のパソコン等の不具合は含まれません
つまり、[楽天証券内部のシステム]はシステム障害だけど[楽天証券と外部をつなぐ通信回線]はシステム障害とは認めないよ、ということでしょうかね?
まぁとりあえず次を見てみましょう。
障害発生時の電話受注体制について
システム障害発生時には、以下の「障害時受注対象商品」について、弊社カスタマーサービスセンターでも受注を行います。 ただし、障害発生時は、多くのお客様からのご注文やお問い合わせによりお電話がつながりにくくなる場合や、障害の影響範囲によっては、注文を承ることができない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
「とりあえず電話してきたら注文受けてやんよ。でもそういう時は混んでるから繋がらないけど文句言うなよ?」ということですね。
正常に執行されなかった注文の取扱い
弊社がサービスを提供するすべての商品のお取引について、お客様からすでに受託した注文がシステム障害の影響により正常に執行(市場へ発注)できなかった場合には、弊社での注文受付・発注時刻と市場での取引状況とを照合、検証し、弊社が責任を持って、以下のように処理させていただきます。
本来約定すべきであったが、障害により執行(市場へ発注)できなかった注文
あらかじめ取引所の承認を受けて、お客様の注文を立会外で弊社が相手方となって適正と認められる価格で成立させます。
または
障害復旧後、市場に改めて発注します。その結果、本来の注文を正当に執行していたときに当然に約定していた価格と差額が生じた場合は、弊社が負担して清算いたします。
(以下略)
「客から楽天証券へ注文を発注したけど、楽天証券から東証に発注できなかった場合は責任持ちますよ」
ということですね。そりゃそうだ。
注文を受注していない場合
障害により注文ができなかった...
例えば... ログインできず注文が出せなかったので、得られたであろう利益が享受できなかった 約定結果の画面反映に時間を要したので反対売買が発注できず、得られたであろう利益が享受できなかった 注文を取消(訂正)する予定であったが、画面の遷移が遅く取消(訂正)が発注できず元の注文で約定してしまった これらは、いわゆる機会損失に該当します。 弊社として受注行為がないことから価格の確定ができず、損失額の確定ができません。したがいまして、このような機会損失については、損失を補填することができませんので、あらかじめご了承ください。
[客 -> (発注) -> 証券会社]の部分で発注できなかったら、それは責任持ちませんよ、ということですね。
これは当たり前で、もしこの部分で責任取りますって言ったらチャート見て後出しじゃんけんできますからね。
要するに[事前に発注していた注文については責任取るよ]ということです。
ロスカットの逆指値は常時出すようにしておきなさい、ということです。
と思ったら別ページにこんなこと書いてます。
システム障害発生時の逆指値注文
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/company/failure/stop_limit.html
次の場合は、逆指値注文の新規受付を停止させていただきます。障害の原因が解消され、復旧次第、逆指値注文の新規受付を再開いたします。 なお、これらの障害は、当社のシステムの不具合に該当しないことから、当社がすでに受託した逆指値注文については、過誤処理の対象外といたします。あらかじめご了承ください。
逆指値は客から証券会社へ注文した時点ではまだ取引所には発注してなくて、逆指値の価格に達した時点でそれがトリガーとなり[証券会社 -> (発注) -> 取引所]となるわけです。
上記の2では[逆指値の価格に達した]ということを証券会社は知りえなかったので、証券会社の責任じゃないよ補償はしないよ、ということみたいです。
そんなの客からしたらどうしようもないじゃん、と思いますがそういうことみたいです。
さて、ここまで長々と書いて今更なんですが、本日の楽天証券の障害は[通信障害]であり[システム障害]ではないようです。2017年8月25日19時21分現在、公式HPに以下の記述があります。
【通信障害のご報告】 8/25正午過ぎから発生していたインターネットの広域ネットワーク障害は、 現在復旧しており、お客様の環境によって、順次接続が可能になっております。 お客様にはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。
結局[楽天証券内部のシステムに問題があったら補償するけどそれ以外は知らないよ]ということですね。
おまけ
僕が愛読している[塩漬けマンの株奮闘記]にこんなことが書いてありました。
ネットワーク障害って、起きるの前提なんで、普通は回線を冗長化するんですよ。
(中略)
全く繋がらなかった楽天証券は・・・結構問題だと思います。
待機回線を敷設していたのか?していたとして、正しいインフラ設計(回線業者・帯域)だったのか?自動切換えシステムは機能していたのか?ネットワーク設計に問題はなかったのか?
元SEの塩漬けマンさんによると[結構問題だと思います]ということ。これはいよいよ証券会社の変更をするべきなのか…
僕は楽天証券を10年以上使っているので売買履歴とか振り返るのに重宝してるんですけど…替え時なのかなー。
VALUの時価総額に大した意味はなく、むしろ困惑の原因になっている
VALU発行者一覧の表を作ってみました。ユーザーは有名な所から適当に抜粋しました(敬称略)。
- 本人所有VA数はVALUユーザーページの[保有中のVALU]から参照
- 流通VA数は[発行VA数]から[本人所有VA数]を引いたもの(つまり実際に売り買いが行なわれている数)
- 流通VA比率は[流通VA数]÷[発行VA数]
- 現在値は2017年8月24日時点の価格を参照
- 時価総額は1BitCoin=45万円で計算
- 流通時価総額 = [流通VA数]×[現在値]を1BitCoin=45万円で計算
これを見て分かるのは、まず流通VA数の少なさです。
上記で広瀬さんは時価総額100億円でトップですが、流通VA数は52です。
100億を実際に得るには現在の1000倍、49,948VAを現在値(円換算で約20万円)で買ってもらわなければいけません。それ売れます?誰が買います?
時価総額表記のワナ
VALUはユーザーごとのデータ画面に時価総額を表記しています。(現在はBitCoin換算ですが)
これがまるでユーザーの価値であるかのようになっており、実際にVALUのユーザープロフィールでは[◯月◯日時点で時価総額1位です!]という表記をよく見ます。
しかし時価総額の計算には[発行者の価値]よりも[発行VA数]が大きく関わってきます。
流通VA数が少なくても、[現在値]×[発行VA数]で時価総額は高くなりますので[発行VA数]が多いほど相対的に時価総額は高くなります。
現実の時価総額
前述の通り、流通していないVA(広瀬さんの例では49,948VA)は実際に需要があるのかわかりません。
そこで実際に金銭のやりとりが行われたVAから現実の時価総額を見てみましょう。
上記の[流通時価総額]がそれです。計算式は[流通VA数]×[現在値]です。
これを見ると、イケダハヤトさんの時価総額は50億円ですが、実際には4400万円程度になります。
つまり時価総額ではイケダハヤトさんの方が上ですが、流通時価総額では堀江さんの方が上です。
ハリボテの時価総額で飾っても、実際に動いている金額が少なければ意味がありません。
時価総額の無意味さがよくわかりますね。
おまけ
[流通時価総額]は実際に金銭のやりとりが行なわれている数字から導き出したものであり、発行者はこの数字と同程度の[売却益]を得ていると予測できます。
しかしVALUが10%の手数料を取っていますので実際に手にしている額はこれより少ないはずです。
逆にVALU側が手にする10%っていくらになるのでしょうか。
上記の表だけで計算しても、流通時価総額の合計は3億2888万円。その10%で3280万円です。 この13人の手数料だけでVALUは3280万円の利益を得ていることになります。 もちろんVALUを発行しているのは13人だけじゃないので、VALUさんはかなりのボロ儲けをしているようですね。
VALU利用者保護のための新ルールを予想してみる
VALUが利用者保護のために規約の改定を行う旨の発表をしました。
利用者保護のための新ルールの策定・改定について
すでに報道されているとおり、利用者保護を強化する利用規約の改 定を含む新ルールについては、来週中を目処に発表する予定です。
8月23日の記事なので、遅くとも9月の1-3日くらいには発表になると思われます。
改定内容を予想する
さて改定内容を予想してみましょう。
先日ヒカル氏の事件があり、その直後の[利用者保護のための新ルール]ということなので以下の問題に対応することが考えられます。
- 発行者による大量のVA放出に対する制限
- 価格の乱高下による購入者の保護
この2点です。
※ヒカル氏の事件についてご存じない方はこちら↓
人間関係現金化フィンテックの「VALU」、深夜2時56分の火消しプレスリリースで未上場ながらクソ株の階段を一歩登る : 市況かぶ全力2階建
1. 発行者による大量のVA放出に対する制限
実際の株式公開時には大株主が大量に売り抜けをして市場を混乱させないように[ロックアップ]という方式を使われることがよくあります。
ロックアップとは「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。公開直後に大株主等が集中的に大量の株式を売却することによる相場のかく乱を防ぐという趣旨があり、会社役員、大株主、ベンチャーキャピタル等、未公開時の投資家が対象とされています。
具体的には、[発行者は上場後3か月はVAを売れない]という感じでしょうか。
発行者は[儲かるしかない仕組み]になっているので、このくらいの改変は仕方がないでしょう。
2. 価格の乱高下による購入者の保護
1でロックアップを例に出しました。しかしVALUは[上場時は発行者が100%のVAを握っている]という三流システムです。
なのでロックアップをかけてしまったらVALUには売りも買いも起こりえません。
その問題と2の[価格の乱高下による購入者の保護]を同時に実現するために[公募]や[売出]を行います。
この辺りは以前のエントリーに記してありますが簡単に説明すると
[上場時にはすでに株主が存在するようにして流動性を確保する]ということです。
現状では上場時に大株主が100%の株(VA)を握っている状態であり、価格操作をやりたい放題。 それが価格の乱高下につながっています。
[公募]や[売出]を行うことが価格の乱高下に結びつくはずです。
※公募や売出についてはこちらに詳しく書いてあります wats2012.hatenablog.com
まとめ
予想というより提案になっている気がしますが、私が考えた利用者保護のための新ルールは
- 発行者は上場後3か月はVAを売れないようにする
- 公募、売り出しを上場前に行う
というものです。
しかしこれを単純に行うと新規発行者は時価総額が低くなり、すでにVALU発行済みの先行者は高くなるはずなので、この差をどうするのかが問題となります。
市場が自然に歩み寄るのか、先行者に制限をかけるのか。
どちらにしても現時点のVAは高すぎるので、高値で買っている人は土俵際です。
[利用者保護]とはいえ、これからの新規参入者の保護が優先ではないでしょうか。既存の参入者は完全には保護されないと思います。
どちらにせよ、新ルールの発表時にVALUバブル崩壊を伴う可能性は高いと思います。
VALUと株式IPOを比較したらVALUの運営のズサンさが見えてきた
上記の記事を書きましたが、IPOとの違いを考えてたらモヤモヤしてきたので続き書きます。
IPOとは
上場することをよくIPOと言ったりしますがIPOとは何でしょうか?
IPOとは、Initial Public Offeringの略で「最初の公開売り出し」という意味です。未上場の会社が新しく株式を上場し、証券取引所で自由に売買できるようにすることを言います。
一般的な会社がIPOするまでの流れ
1. 株式会社を立ち上げる
佐藤さん(仮名)は株式会社を立ち上げました。それに伴い私財を投げ打って会社の資本金にしました。
資本金に応じて佐藤さんは株主となります。
またこの時に家族や親戚から資金提供を受けるとその人たちも株主となります。
2. VCから資金提供を受ける
佐藤さんのアイデアはとてもスゴいものでした。その噂を聞きつけたVC(ベンチャーキャピタル)から資金提供を持ちかけられました。
佐藤さんはとてもスゴいアイデアを実現するために設備投資が必要です。しかしお金はありません。なのでVCの資金提供を受けることにしました。
増資(新たに株式を発行する)してVCに株を渡し、その対価としてお金をゲットしました。
3. IPO(新規上場する)
設備投資してスゴいアイデアを実現した佐藤さんの会社は絶好調です。利益はぐんぐん伸びています。
そこでもっと会社を大きくするためにもっと設備投資をすることにしました。
その資金は株式を上場して調達することになりました。
(上場審査とかもありますがここでは割愛します)
4. 上場準備
IPOは前段階として[公募]と[売出]が行なわれます。
[公募]とは公募増資のことです。新しく株を発行して買ってもらいます。
[売出]はすでに株を持っている人(社長や役員など)が文字通り手持ちの株を売り出します。
(ちなみに東証マザーズの場合、この時に市場に公開する株数は全発行株数の25%以上でないといけません)
それらの株を一般の人が買うためには抽選があります。
証券会社から[今度新しく上場する株式会社サトーサンの株が欲しい人は応募してねー!]とアナウンスがあり、希望者は申し込みます。この時に[公募価格]が決まります。
株式会社サトーサンの[公募価格]は1000円に決まりました。
抽選に当たった人にはめでたく1株1000円で割り当てられました。
5.上場日(AM8:00)
ついに上場の日がやってきました。
株式会社サトーサンの株式を上場前にゲットできなかった人は上場後に市場で買うしか方法がありません。
「株式会社サトーサンはスゴいアイデアを持っている会社なのでこれからも業績はどんどん伸びるはず!今のうちに買いたい!」という人が多かったようで買い注文が殺到しています。気配値(株式市場が始まる前の注文の一覧)はどんどん上がっていき、このままでは2000円を超えて始まりそうです。
しかし上場前にゲットしてた人は1000円で買っていますので、2000円ならそこで売っても大儲けです。
すると今度は気配値がどんどん下がっていきます。売りたい人が実際に注文をどんどん出しているようです。 いくらで始まるのでしょうか。
6. 上場日(AM9:00)
9時になり、株式市場では取引が開始されました。株式会社サトーサンの株価は気配値を高めていきます。結局9:30に1300円で初値が付きました。
7. その後
株式会社サトーサンの株は誰でも自由に買えるようになり、毎日活発に売買が行われるようになりましたとさ。めでたしめでたし。
まとめ
1で佐藤さんが株主になり、2でVCも株主になりました。そして4でIPOに応募した人も株主になっています。
つまり上場する時には多くの株主がすでに存在しており、特に4で25%以上の株が放出されています。なので市場には[株を売る人]が多く存在しています。
株価が上がるためには[売る圧力]よりも[買う圧力]が大きいことが必要になります。
VALUで上場するまで
1. 決意する
「なんかVALUってやつで自分の価値を売れるらしい!やってみよ!」
(ここで一応ザルみたいなユルい審査があるのですが割愛します)
2. VAをもらう
VAという株みたいなものをVALUにもらいます。佐藤さんは資本金を私財から出しましたしVCは大金を出して株を買いましたがVALUでは無料でもらえます。
3. 上場
上場日がやってきました!発行済み株式の全株(全VA)を持ってます!1VAずつだろうが50000VA一気にだろうが好きに売れます!
まとめ
IPOでは上場する時点で大株主(上記の佐藤さんやVC)の他に少なくとも全発行株数の25%の株主が存在します。
しかしVALUでは[大株主の他に株主はいない]という状況で上場され取引が始まります。
そして実際のIPOだと、大株主は[ロックアップ]と言う制限がかかっている場合が多いです。
[ロックアップ]は[上場後6か月は売っちゃダメ]とか[株価が50%以上上がってからでないと売っちゃダメ]というような制限があり、そのおかげで一般の投資家が安心して買うことができるような配慮がなされています。
極端に売り物が少なければ価格は高騰する
VALUの問題点は[取引開始時には市場にVAが無い]という所です。
発行者が全てのVAを握っていますので、発行者が1VAだけを売りに出したら[市場に流通しているのは1VAだけ]という状況になります。
例えば今(2017年8月22日)、任天堂のswitchが品薄です。定価3万円弱のものが価格コムの最安価格では46000円ほどです。1.5倍以上になります。
もし世界中にswitchが1つしかなかったらどうなるでしょうか?おそらく数十万円。もしくは数百万円の値が付くかもしれません。
需要に対して供給が極端に少なければ価格は高騰します。
東京証券取引所は上記のように25%ルールを作って価格の行き過ぎを軽減しています。
それに対してVALUは価格を高騰させたいかのように適当なルールで運営しています。
そしてVALUは 価格が高騰するほど儲かるのです
VALUの手数料
VALUは発行者から購入者へVAを売った場合に 10%の手数料を取っています
1VA300円だと30円だけど、10万円だと1万円の手数料になります。
つまり発行者がVAを高く売れば高く売るほど儲かるのです。
そりゃVALUとしては購入者保護なんて考えたくないですよ。
購入者保護策(案)
上にも書いた通り[取引開始時には市場にVAが無い]というのが問題なので、上場前に公募を行うべきです。[25%のVAを上場前に売る]という規約を設定する。それだけでいいです。
希望者が殺到したら抽選にします。
[アルファブロガーのXさんが上場します!]とアナウンスをして、希望者の数を見て公募価格を決めます。すると上場時には多くの売りと買いにより市場は活発になって健全な取引が行われるはずです!
しかし多分上手くいかない
案を出しておいてアレですが、これをするとVALUは一気に過疎化すると思います。
ちょっとシミュレーションしてみましょう。
- [アルファブロガーのXさんが上場します!]
- [1VAにつき300円に決まりました!]
- [限定数は12500VAです!] (これにより300×12500=375万円がXさんのモノになる)
…これ12500も売れますかね?
ホリエモンくらいのクラスならもしかしたら売れるのかもしれません。
彼のメルマガが1配信200円で読者が15000人いるらしいので。(データ古いので現在は数字違うかもしれません)
しかし[アルファブロガーのXさん]がそれを得ることができるんですかね???
もし売れたとしても買った人は値上がり益を求めてのことだと思います。
実際に取引が始まっても、12500VAの売り圧力をこなせますかね?
そしてやっと優待が機能する
XさんがVAを売るためにはちゃんとした優待を設定する必要があります。
現在は数千円数万円を出して[ありがとうって言います]とか[人生相談に乗ります]みたいな優待で溢れてますが、これ12500人の人に行うの無理ですよね。
かと言って[有料メルマガを読めます]と言ってもそこに求められるのはホリエモンクラスのクオリティです。(ホリエモンの読んだことないけど)
なので本当に真剣に向き合って本気で優待出さないとVAは売れません。
そしてやっとVALUが機能する
現在は発行VA数を100にしようが50000にしようが適当に決めればいいんですが、本気で優待を出して現実的にVA購入者数を見積もると身の丈にあった発行数にするのがベストということになります。
50000VA発行して12500を売り出す必要があるのに希望者が集まらず、公募価格が0.1円(1銭)ということもありえます。それでも希望者が集まらなかったらVALUは発行希望者に「50000VAは無理だから100にしときな?」と伝えます。
結局、一般人に毛の生えたようなアルファさんに50000VAは多すぎます。
まとめ
VALUは流動性を全く無視して適当な発行数で適当な流通量で適当に運営しているとしか思えない。
東証マザーズを見習って[全VAの25%以上を流通させる]という上場基準を設定する所から始めてみてはいかがでしょうか。
VALUは発行者が圧倒的有利で購入者は圧倒的に不利な理由
(2017年8月22日21時,続き書きました)
「VALUは株のようなもの」という触れ込みで始まりましたが、そうでないのはいろんな方が言及している通りです。
配当はダメ、集まった資金で事業を起こしてそれで儲かっても配当しちゃダメ、優待ならいいけど情報商材とかダメ。
どのくらい違うのか比較するために、東京証券取引所の上場審査基準を調べてみました。
東証の審査基準
以下は東証で一番基準の緩いマザーズの基準です。
- (1)株主数
(上場時見込み) 200人以上
(上場時までに500単位以上の公募を行うこと) 800人以上
- (2)流通株式
(上場時見込み)
流通株式数 2,000単位以上
流通株式時価総額 5億円以上
流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
規模が違うので時価総額とかは一旦置いときますが、注目して欲しいのは
流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
という部分です。
これをVALUに当てはめると、「5ooooVAを発行したら公開時に12500VAを流通させなければならない」ということになります。
VALUの現実
しかしVALUでは「公開時に〇〇VA売りださなきゃダメ」という規約はありません。
実際のVALUでの常套手段は、
- VALUを公開する
- 1VAだけ売る
- 翌日は値幅制限が上がるのでまた1VAだけ売る
この繰り返しで流動性のないままにVALUは簡単に上がり続けます。
需要に対して供給が圧倒的に少ないので、VAの本質的な値段とはかけ離れて上昇します。
ちなみにライブドアは100分割という方法で需要>供給という状況を作り出して株価を暴騰させたことがあります。
100分割は違法ではありませんが、当時は「そんなことする奴はいないだろう」という暗黙の了解がありました。ライブドアはそれをあえて行いました。
後にルールが改正されて、100分割をしても需給が極端に良くなる方法は使えなくなりました。
VALUは公開時の流通量を増やすべき
つまりVALUには公開時の流通量に規定が無いので圧倒的な需要が生まれます。
購入者保護を考えるならマザーズの様に[最低でも公開時に25%流通させること]とするべきです。
これにより売り買いが活発になり、無駄に暴騰することは避けられるはずです。
おまけ
ちなみに有名どころのVALUを見てみます。(2017年8月22日現在、敬称略)
- 発行VA数 10000VA
- 出来高 515VA
- 発行VA数 5000VA
- 出来高 91VA
イケダハヤト
- 発行VA数 20000VA
- 出来高 355VA
今調べてみてビックリしました。
発行数と出来高の比率が一番多い堀江さんで5%程度です。
株だと大体、株式公開初日には100%超えるのに有名どころの人でこの流動性です。
VALUすげぇ。盛り上がってるように見せかけて超過疎ってるじゃん。