VALUと株式IPOを比較したらVALUの運営のズサンさが見えてきた
上記の記事を書きましたが、IPOとの違いを考えてたらモヤモヤしてきたので続き書きます。
IPOとは
上場することをよくIPOと言ったりしますがIPOとは何でしょうか?
IPOとは、Initial Public Offeringの略で「最初の公開売り出し」という意味です。未上場の会社が新しく株式を上場し、証券取引所で自由に売買できるようにすることを言います。
一般的な会社がIPOするまでの流れ
1. 株式会社を立ち上げる
佐藤さん(仮名)は株式会社を立ち上げました。それに伴い私財を投げ打って会社の資本金にしました。
資本金に応じて佐藤さんは株主となります。
またこの時に家族や親戚から資金提供を受けるとその人たちも株主となります。
2. VCから資金提供を受ける
佐藤さんのアイデアはとてもスゴいものでした。その噂を聞きつけたVC(ベンチャーキャピタル)から資金提供を持ちかけられました。
佐藤さんはとてもスゴいアイデアを実現するために設備投資が必要です。しかしお金はありません。なのでVCの資金提供を受けることにしました。
増資(新たに株式を発行する)してVCに株を渡し、その対価としてお金をゲットしました。
3. IPO(新規上場する)
設備投資してスゴいアイデアを実現した佐藤さんの会社は絶好調です。利益はぐんぐん伸びています。
そこでもっと会社を大きくするためにもっと設備投資をすることにしました。
その資金は株式を上場して調達することになりました。
(上場審査とかもありますがここでは割愛します)
4. 上場準備
IPOは前段階として[公募]と[売出]が行なわれます。
[公募]とは公募増資のことです。新しく株を発行して買ってもらいます。
[売出]はすでに株を持っている人(社長や役員など)が文字通り手持ちの株を売り出します。
(ちなみに東証マザーズの場合、この時に市場に公開する株数は全発行株数の25%以上でないといけません)
それらの株を一般の人が買うためには抽選があります。
証券会社から[今度新しく上場する株式会社サトーサンの株が欲しい人は応募してねー!]とアナウンスがあり、希望者は申し込みます。この時に[公募価格]が決まります。
株式会社サトーサンの[公募価格]は1000円に決まりました。
抽選に当たった人にはめでたく1株1000円で割り当てられました。
5.上場日(AM8:00)
ついに上場の日がやってきました。
株式会社サトーサンの株式を上場前にゲットできなかった人は上場後に市場で買うしか方法がありません。
「株式会社サトーサンはスゴいアイデアを持っている会社なのでこれからも業績はどんどん伸びるはず!今のうちに買いたい!」という人が多かったようで買い注文が殺到しています。気配値(株式市場が始まる前の注文の一覧)はどんどん上がっていき、このままでは2000円を超えて始まりそうです。
しかし上場前にゲットしてた人は1000円で買っていますので、2000円ならそこで売っても大儲けです。
すると今度は気配値がどんどん下がっていきます。売りたい人が実際に注文をどんどん出しているようです。 いくらで始まるのでしょうか。
6. 上場日(AM9:00)
9時になり、株式市場では取引が開始されました。株式会社サトーサンの株価は気配値を高めていきます。結局9:30に1300円で初値が付きました。
7. その後
株式会社サトーサンの株は誰でも自由に買えるようになり、毎日活発に売買が行われるようになりましたとさ。めでたしめでたし。
まとめ
1で佐藤さんが株主になり、2でVCも株主になりました。そして4でIPOに応募した人も株主になっています。
つまり上場する時には多くの株主がすでに存在しており、特に4で25%以上の株が放出されています。なので市場には[株を売る人]が多く存在しています。
株価が上がるためには[売る圧力]よりも[買う圧力]が大きいことが必要になります。
VALUで上場するまで
1. 決意する
「なんかVALUってやつで自分の価値を売れるらしい!やってみよ!」
(ここで一応ザルみたいなユルい審査があるのですが割愛します)
2. VAをもらう
VAという株みたいなものをVALUにもらいます。佐藤さんは資本金を私財から出しましたしVCは大金を出して株を買いましたがVALUでは無料でもらえます。
3. 上場
上場日がやってきました!発行済み株式の全株(全VA)を持ってます!1VAずつだろうが50000VA一気にだろうが好きに売れます!
まとめ
IPOでは上場する時点で大株主(上記の佐藤さんやVC)の他に少なくとも全発行株数の25%の株主が存在します。
しかしVALUでは[大株主の他に株主はいない]という状況で上場され取引が始まります。
そして実際のIPOだと、大株主は[ロックアップ]と言う制限がかかっている場合が多いです。
[ロックアップ]は[上場後6か月は売っちゃダメ]とか[株価が50%以上上がってからでないと売っちゃダメ]というような制限があり、そのおかげで一般の投資家が安心して買うことができるような配慮がなされています。
極端に売り物が少なければ価格は高騰する
VALUの問題点は[取引開始時には市場にVAが無い]という所です。
発行者が全てのVAを握っていますので、発行者が1VAだけを売りに出したら[市場に流通しているのは1VAだけ]という状況になります。
例えば今(2017年8月22日)、任天堂のswitchが品薄です。定価3万円弱のものが価格コムの最安価格では46000円ほどです。1.5倍以上になります。
もし世界中にswitchが1つしかなかったらどうなるでしょうか?おそらく数十万円。もしくは数百万円の値が付くかもしれません。
需要に対して供給が極端に少なければ価格は高騰します。
東京証券取引所は上記のように25%ルールを作って価格の行き過ぎを軽減しています。
それに対してVALUは価格を高騰させたいかのように適当なルールで運営しています。
そしてVALUは 価格が高騰するほど儲かるのです
VALUの手数料
VALUは発行者から購入者へVAを売った場合に 10%の手数料を取っています
1VA300円だと30円だけど、10万円だと1万円の手数料になります。
つまり発行者がVAを高く売れば高く売るほど儲かるのです。
そりゃVALUとしては購入者保護なんて考えたくないですよ。
購入者保護策(案)
上にも書いた通り[取引開始時には市場にVAが無い]というのが問題なので、上場前に公募を行うべきです。[25%のVAを上場前に売る]という規約を設定する。それだけでいいです。
希望者が殺到したら抽選にします。
[アルファブロガーのXさんが上場します!]とアナウンスをして、希望者の数を見て公募価格を決めます。すると上場時には多くの売りと買いにより市場は活発になって健全な取引が行われるはずです!
しかし多分上手くいかない
案を出しておいてアレですが、これをするとVALUは一気に過疎化すると思います。
ちょっとシミュレーションしてみましょう。
- [アルファブロガーのXさんが上場します!]
- [1VAにつき300円に決まりました!]
- [限定数は12500VAです!] (これにより300×12500=375万円がXさんのモノになる)
…これ12500も売れますかね?
ホリエモンくらいのクラスならもしかしたら売れるのかもしれません。
彼のメルマガが1配信200円で読者が15000人いるらしいので。(データ古いので現在は数字違うかもしれません)
しかし[アルファブロガーのXさん]がそれを得ることができるんですかね???
もし売れたとしても買った人は値上がり益を求めてのことだと思います。
実際に取引が始まっても、12500VAの売り圧力をこなせますかね?
そしてやっと優待が機能する
XさんがVAを売るためにはちゃんとした優待を設定する必要があります。
現在は数千円数万円を出して[ありがとうって言います]とか[人生相談に乗ります]みたいな優待で溢れてますが、これ12500人の人に行うの無理ですよね。
かと言って[有料メルマガを読めます]と言ってもそこに求められるのはホリエモンクラスのクオリティです。(ホリエモンの読んだことないけど)
なので本当に真剣に向き合って本気で優待出さないとVAは売れません。
そしてやっとVALUが機能する
現在は発行VA数を100にしようが50000にしようが適当に決めればいいんですが、本気で優待を出して現実的にVA購入者数を見積もると身の丈にあった発行数にするのがベストということになります。
50000VA発行して12500を売り出す必要があるのに希望者が集まらず、公募価格が0.1円(1銭)ということもありえます。それでも希望者が集まらなかったらVALUは発行希望者に「50000VAは無理だから100にしときな?」と伝えます。
結局、一般人に毛の生えたようなアルファさんに50000VAは多すぎます。
まとめ
VALUは流動性を全く無視して適当な発行数で適当な流通量で適当に運営しているとしか思えない。
東証マザーズを見習って[全VAの25%以上を流通させる]という上場基準を設定する所から始めてみてはいかがでしょうか。