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投資に関するなんやかんやを書いていきます

コインチェックが26万人の信頼を得たカラクリ

インチェックが不正な送金の被害に遭い、数百億円の損失を出しました。

同社は顧客の口座数を26万口座と発表しています。

今回の被害にあったNEMを持っていた人数なのか、コインチェックの総口座数なのかはわかりませんが、少なくとも26万人以上の人が口座を持っていた事になります。

販売所というボロい商売

インチェックは仮想通貨の取引所と販売所を運営していました。

取引所とは

「○○円で買いたい」という客と「○○円で売りたい」という客をマッチングさせて取引を成立させます。

つまり客同士の売買を仲介する形になります。

販売所とは

販売所が値を提示します。たとえば通貨Aを「102万円で売ります」「98万円で買います」というような料金表を提示します。その値段で問題ないと思った客は販売所から通貨Aを買い(売り)ます。

つまり客と販売所の間での売買になります。

この販売所が儲かります。

上の例で単純に考えると98万円で買ったものを102万円で売るわけですので4万円の儲けです。

例えば相場全体の価格が200万円になったら「196万円で買って204万円で売る」ということになり、価格の変動関係なく儲かります。

しかしそんなボロい商売があるのなら他社が参入してくるはず。

「99万円で買って101万円で売る」という値段設定をすれば、顧客の側から見ると得ですのでそっちに流れます。利益は減りますが顧客を奪えるので、結果儲かります。

仮想通貨取引業者の間で競争が激化すれば買いと売りの価格差は縮まります。

例えば法定通貨のドルと円の場合、銀行で10000ドルを取引する場合は「99万5000円で買って100万5000円で売る」という感じです。FXの場合だと(差金決済になるのでちょっと違う解釈にはなりますが)「99万9950円で買って100万50円で売る」というレベルまで価格差は縮まります。

仮想通貨取引業者は増えています。競合する業者は増えています。それでもコインチェックには強みがあります。

「13通貨が取引できる」という所です。

国内では最も多く、コインチェックでしか取引できない通貨もあります。

なので言わば独占状態であり競争原理が働かない為、高い価格差を維持できます。

それなら同業他社も同じコインを取り扱えば良いと思いますが、そう簡単ではありません。

まずはセキュリティの問題。

平成30年1月31日現在、仮想通貨は約1500種類あります。

それらの通貨は色々な特色がありますが、ほとんどが開発途上です。

実際に使われるようになるのかもわかりません。実際に使われるようになったとしても、送金すれば失われるようなバグがあるかもしれません。

安全に運用できる通貨なのか、自社の技術でセキュリティを保てるのか、それらを考慮すると簡単には取扱通貨を増やすことはできません。

そしてコインチェックだけが13通貨を取扱えたのは金融庁のバックアップがあったから、と私は解釈しています。

インチェック独占状態を後押しした金融庁

2017年4月。仮想通貨取引業を行うには金融庁の登録が必要になりました。

同業他社はどんどん登録を終えましたがコインチェックは申請が通りません。

なぜコインチェックに認可が下りないのでしょうか。

私は金融庁の人じゃないのでわかりません。しかしこんな噂が流れています。

「コインチェックは匿名通貨を取り扱っているから認可が下りないんだ」と。

例えばビットコインの場合、取引履歴は全てがオープンになっています。

アドレスxxxからアドレスzzzへ2BTC送金したというような履歴が残ります。

アドレスzzzの人がその2BTCをyyyの人に送ったとして、それも履歴に残ります。誰でも見ることができます。

しかし匿名通貨は履歴を見ることができません。(または履歴はあるけど内容がわからないようになっている)

匿名通貨が普及すればマネーロンダリングに使えるので金融庁としては許可できないのではないかと噂されています。

日本で仮想通貨取引業をするには認可が必要、しかし匿名通貨を扱えば認可が下りない、となるとコインチェックはそれらの需要を独占できることになり、ボロ儲けできるのです。

(ただしコインチェックは[みなし業者]なので期限付きのボロ儲けです)

顧客の側からしたら認可が下りてない業者は危ないと思いそうですが、「匿名通貨を扱っているから認可が下りない = その他は健全だ = コインチェックは安全だ」という曲がった解釈をしているように思います。

金融庁は審査が通らない理由を示していませんが、それにより匿名通貨を扱うのは危ない(認可下りない)という風潮になり、結果的にコインチェックをバックアップしているような形になってしまっています。

そしてもう一つの原因は「アフィリエイト」です。

被害者をコインチェックに送り込んだ死の商人「アフィリエイター」

2017年に仮想通貨が大きく値上がりしました。その結果、仮想通貨関連のブログがめちゃくちゃ増えました。

私から見れば投資理論もメチャクチャなブログがとても多いのですが、それでも彼らが儲かっていると喧伝し、それを見た人が仮想通貨に興味を持つのは自然なことです。

そしてそれらのブログにはほとんどアフィリエイトが付いています。「日本一の取引所!」「私も使っています!」「とても使いやすい取引所です!」などなどの文言とともにコインチェックのアフィリエイトが付いています。

アフィリエイトといえば通常はa○azonやgoo○leやバ○ューコマース等の業者に登録して行うのですが、コインチェックの場合はコインチェックのサイトにアフィリエイトのやり方が掲載されており簡単にブログに載せることができます。

自分のブログからコインチェックのリンクを踏んで登録した人が入金すれば、それだけで謝礼を貰えます。うまくいけば1人につき2万円以上貰えるようです。

つまりこれらのブログ主はコインチェックが本当に良い取引所かどうかは関係なく「いい取引所です!」と言っているかもしれないのです。

そしてその結果、コインチェックをオススメするブログが量産されました。

これある意味洗脳ですよね。何度も「コインチェック」と目にしていればいつのまにか身近に感じられるようになる。あの人も使っているのだからきっと安心安全な取引所なんだと洗脳されてしまいます。

その結果、いつのまにかコインチェックは良い取引所だと思う人が数十万人できあがったのです。

無責任にアフィリエイトを貼り、被害者を増やしたアフィリエイターは「死の商人」と言えるのではないでしょうか。

コストの高さとセキュリティの高さは比例しない

さて。「コインチェックでしか買えない通貨がある」と書きましたが正確には違います。

ファクトムだとかオーガーだとかダッシュだとかは確かに日本ではコインチェックでしか買えません。

「日本では」です。

海外の取引所を使えば買えます。

そして多数のユーザーはそれを知っています。しかしほとんどのユーザーはコインチェックでそのまま取引しています。

それはなぜでしょうか。

おそらく「海外の取引所ってヤバそう」というイメージからだと思います。

「海外の取引所ってどうせセキュリティ意識甘いんでしょ?適当に運営してるんでしょ?それより真面目な日本人が運営してる日本の取引所の方がちゃんとセキュリティ対策してて安全なんでしょ?そのための高い手数料なんでしょ?」

そんなイメージから彼らは手数料の安い海外取引所ではなく、コストの高い日本のコインチェックに資産を置きっぱなしにしていたのでしょう。

「手数料安い=セキュリティ甘い」「手数料高い=セキュリティしっかり」という(意味のない)イメージもありますし。

しかし今回の事件でハッキリしました。

「手数料(売買コスト)の高いコインチェックはセキュリティ激甘」でした。

手数料でボロ儲けしたお金はアフィリエイターにばら撒かれましたが、技術者の確保にどれだけコストをかけていたのかは謎です。

しかし全ては自己責任

しかし資金の100%をコインチェックに置いていた人は、ほぼ100%のNEMをホットウォレットに置いていたコインチェックと同罪です。(もちろん資金をコールド保管していると謳っていたコインチェックは問題ですが)

投資は自己責任です。責任をコインチェックに押し付けてる時点で投資不適格です。

まとめ

投資するならちゃんとリスク考えようね!